イラクで4月30日、連邦議会(国会)選挙が行われる。2011年末の米軍撤退以来初の総選挙で、ヌーリー・マリキ首相(63)率いる政党連合が優勢。マリキ氏はテロを抑え込む強硬姿勢をアピールし、支持拡大につなげたい考えだ。だが、イスラム過激派が首都バグダッドを標的に大規模テロを行うとの見方はくすぶり、投票日を前に当局は警戒を強めている。
「おまえ(マリキ氏)が目にするのは流血だけだ。われわれは強襲と爆弾を約束する」。4月上旬、インターネット上に公開された映像の中で、イラク軍兵士を処刑するイスラム過激派「イラク・シリアのイスラム国」の戦闘員はこう宣言した。
イスラム教スンニ派の国際テロ組織アルカーイダを母体とするこの組織は隣国シリアの内戦で台頭。イラク中西部アンバル州で政府軍との戦闘を激化させた。
スンニ派が大半のアンバル州ではシーア派主導のマリキ政権に冷遇されているとの不満が強い。スンニ派テロ組織などはこれに乗じて1月以降、首都西方のアンバル州ファルージャなどを制圧し、支配。地元部族も一部、支援に回っているもようだ。
地元紙は武装勢力が最近、ファルージャを流れるユーフラテス川のダムの水門を数回閉鎖したと報じた。アラブ紙アッシャルク・アルアウサトは「軍を洪水対策に集中させ、首都攻撃をしやすくする狙いだ」と指摘した。