東南アジア諸国連合(ASEAN)は5月11日、ミャンマーの首都ネピドーで首脳会議を開き、中国公船とベトナム船の衝突で緊張が高まる南シナ海情勢を主要議題に協議し、関係国に自制と武力の不使用を求める「ネピドー宣言」を採択した。
首脳会議に先立って10日に行われた外相会議では、南シナ海情勢に「深刻な懸念を表明する」との緊急声明を採択し、中国に自制を促した。
これを受けた首脳レベルの宣言は南シナ海問題について、「すべての関係国が武力行使を自制するよう強く求める」と指摘した。
また、南シナ海の紛争解決に向けた、法的拘束力のある「行動規範」の策定で早期に結論を出すことを要請。行動規範の協議入りで合意しながら消極的な姿勢を示し続ける中国を、名指しを避けつつも非難する内容となった。
首脳会議の席上、ベトナムは、艦船などを投入して圧力を増す中国の姿勢を問題視し、ASEANとしての抗議を明文化するよう求めた。しかし、加盟国の中には、議長国のミャンマーを含め、中国と緊密な関係を持つ国も多く、調整は難航。外相会議での緊急声明と同じく、首脳会議でも中国を直接批判しないことで一定の配慮を加えた格好だ。