やはりそれは、欧米やオーストラリアのように、可能な限り五輪選手との練習拠点を共用することです。これから共用の方向で進んでいくNTCや国立スポーツ科学センター(JISS)は、最先端の医科学情報や設備、人材がそろっています。動作解析などの最先端の技術を、日本のパラリンピック界はまだまだうまく活用できていません。たとえば、義足の選び方や製作にも、客観的なデータはなく、アスリートや職人の感覚によるところが大きいのです。
そのため、失敗やけがのリスクも大きくなります。タイプが合わずに膝に炎症を起こすなど、体を痛めながら自分に合うものを探っている状況です。日本の高度な医科学的な見識を活用できれば、効率的により高いパフォーマンスを発揮でき、強豪国との差が開き始めている日本のパラリンピックの成績も2020年東京大会に向けて伸ばしていけるはずです。
同時に、現状では使途に制限がある強化費を、より柔軟に活用できるようにソフト面でも充実すべきだと思います。たとえば、強化合宿のための予算は、実戦で強化したい選手の海外遠征に使うことはできません。その場合、選手は自費で遠征に行かなければならないのが現状です。