ウクライナ南部オデッサで5月2日、親欧米の暫定政権を支持する住民らと、ロシア系住民らが激しく衝突、市内の労働組合の建物でも火災が発生し、治安当局の発表によると合わせて46人が死亡した。ロシア系住民の保護を名目にしたプーチン露政権による軍事介入が懸念される中、ドネツク州など東部だけでなく南部にも混乱が拡大し、ウクライナ情勢は緊迫度を増している。
一方、東部スラビャンスクで親露派武装勢力に拘束されていた欧州安保協力機構(OSCE)の監視員ら12人全員が3日、解放された。親露派勢力は「ウクライナ(暫定政権)のスパイがいる」と主張し、4月25日から監視員らを拘束。プーチン大統領が特使を派遣して、説得工作を続けていた。同特使は「無条件解放」としている。
親露派勢力が拠点としているスラビャンスクの近郊では3日、前日に続き暫定政権による軍事作戦が行われ、報道によると、未明に起きた銃撃戦などで10人以上が死亡した。
南部の港湾都市オデッサでの衝突は2日午後、中心部で発生。投石などで数人が死亡したほか、労働組合の施設で放火が原因とみられる火災が起き、40人を超す死者が出た。負傷者は210人以上。2月の政変後、一度の衝突としては最悪の犠牲者数となった。治安当局は、騒乱に加わった130人以上を拘束した。