ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)が、自国に併合したウクライナ南部のクリミア半島に「カジノ特区」を設ける計画をぶち上げた。ウクライナとの分断で経済、財政的に苦境に陥る懸念があるクリミアをテコ入れするのが狙い。クリミアの住民に“ロシア編入に伴う果実”を具体的に示す狡猾(こうかつ)な懐柔策だ。親ロシア派の武装勢力が公共施設を占拠するウクライナ東部の住民に対しても、「こっちの水は甘いぞ」と言わんばかりに、ロシア編入へと誘い込む思惑ものぞく。
税制優遇、投資募る
モスクワに拠点を置くニュース専門局RTなどが伝えたもので、プーチン大統領は4月21日、「カジノ特区」を創設する法案を下院に提出した。
報道によると、カジノはクリミアの中心都市で黒海に面するセバストポリにある5つ星ホテルの近くに建設する予定。税制優遇措置を設け、カジノやリゾートホテルへの投資を募る。ロシア政府はすでにクリミアの経済発展計画として、通信・輸送分野に70億ドル(約7100億円)を投じることを表明している。