音楽の魅力満載
「『種まき』は最初から1曲目にする予定でした。でも、ちょっと気持ち悪くないですか?(笑) 種をまいたら人間ができて歩き出すって、ゾンビみたいで。なんか植物って面白いなっていうのがあって。続く『terrarium』はその時の自分の状況もあったんですけど、すごく前向きの歌詞にしたくて、ちょっと環境を変えて飛び出したい、その準備はいいかな?という内容です」
玉手箱を開けたような楽しい音遣いのポップソングがあるかと思えば、オーケストレーションもできるとあって、さまざまな楽器の響きから広がる音世界も魅力だ。「エキゾチックな中国風のメロディーにしたかったので」と、ベースや弦楽器のパターンをひねり出し、気を使う2人が出掛けた状況を思い浮かべて作詞した「読み合うふたり」は、コロコロと曲調が転がっていく面白さ、「ballooning」はジャズでありながら、「歌詞を考えていた時に天井からクモが降りてきたので、何かのアピールだと思ってクモの歌にしました(笑)」。夏目漱石の「草枕」をきっかけにできた曲や、エレクトロニックサウンドに、「空に自分の希望を投げてどんどん飛んでいってというイメージの詩で、その開けた感じがすごく好きだったので」と、E.E.カミングスの詩を乗せて歌ったものもある。