音楽が売れないと言われるなか、ビヨンセは昨年(2013年)末に新作をサプライズリリースし、世界中をあっと言わせた。「コンテンツを他人のメッセージやフィルターなしに、直接ファンに届けたい」と、前告知を全くしないままiTunesから独占先行配信し、発売開始から3日間で約83万枚をセールス、104カ国で1位を獲得した。しかも新作「ビヨンセ」は、14曲とミュージックビデオ17本を合わせた斬新な内容の“ビジュアル・アルバム”。ここには大勢のプロデューサーやシンガーらが関わっているうえに、映像も故郷ヒューストンやパリ、シドニーなど世界各国で撮影したものの、情報が一切漏れなかった。何しろ、レコード会社のスタッフさえ知らされていなかったのだ。
アルバムを全体で
「私はこのアルバムをひとつの完成した作品として作り上げたかった。それが今のポップミュージックから失われてしまっていることだと思うから。それぞれ違った聴き方をして、異なる第一印象を持ってほしい。10秒足らずのミュージッククリップじゃなくて、アルバムの全体像を見てほしい。だからこのアルバムを1本の映画として、そして体験として作り上げることが重要だったの」