“蓮沼執太”というジャンルが成立するといっていいほど、彼は独自のスタンスで活躍中だ。環境学を専攻した大学での卒業制作でフィールドレコーディングを生かしたアルバムを作り、アメリカのレーベルからリリース。これまで事務所に所属せずに一個人で活動し、ソロ作品の他に、演劇、ファッション、美術、建築、映画などと多岐にわたるコラボレーションを展開してきた。今回は15人編成の蓮沼執太フィルで、初アルバム「時が奏でる Time plays - and so do we.」を発表した。
やりたいことのためにミュージシャンに声をかけ始めたら、この人数になったという。スチールパンやマリンバなど、気持ちを明るくする鮮やかな音色が優美なメロディーに踊る。アルバムはライブで演奏してきた曲中心で、全員がそろった3日間でほぼレコーディングを終えた。
「僕の曲をライブに向けて翻訳するのが初期のフィルの姿で、このアルバムの最初のコンセプトは、『いつの時代も聴かれる音楽』。ライブ演奏で表現するので、『世界観を作らず、固定概念も作らない』。そうすることで誰もがアクセスしやすくすることは意識しました」