生活の全てを音楽にささげるなんてばからしいと、どこかで冷静な自分が言っていても、たった1時間のライブで私は満足してしまう。ばかで結構、こんなに最高の1時間がもらえるのならば。ステージの私は全てを回収しようとする。音楽のために犠牲にしているもの。そして全てを解放しようとする。音楽でなくては発散できないものを。体の隅々から声を絞り出して、今ここで息絶えても良いとさえ思いながら歌う。そしてステージの上から素直に伝えるのだ。
「最高すぎて苦しいね」(音楽アーティスト 黒木渚/SANKEI EXPRESS)
■すきた・まさよし 1938年、福岡県生まれ。広告、音楽、映画などの仕事で今日に至る。近作は忌野清志郎写真集『SOUL』(2012年)、デヴィッド・ボウイ写真集『BOWIE×SUKITA Speed of Life』(12年)、『THE SHOOT MUST GO ON 写真家鋤田正義自らを語る』(13年)など。http://sukita.jp/