さらに、日本による南極海での調査捕鯨を国際捕鯨取締条約違反だとした国際司法裁判所(IJC)の判決をめぐる問題が、日豪関係全体に影響を及ぼさないとの認識を共有した。
≪TPP交渉動かす思惑も≫
安倍晋三首相が4月7日、オーストラリアのアボット首相との首脳会談で大筋合意したEPAは、日本にとって農業大国との貿易自由化の先例になる。加えて、農産品の関税撤廃問題で難航する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉を動かすテコにしたい思惑もある。今回の大筋合意によって、日本の通商戦略は再び加速しはじめるのか-。
「2国間の関係を新たな特別な関係に引き上げ、一層強固なパートナーシップを作り上げていくことを確認した」
安倍首相は首脳会談後の共同会見で日豪EPAの大筋合意についてこう説明し、その意義を「両国間の貿易投資を促進する極めて重要な枠組みだ」と強調した。
日本がこれまで結んだ13のEPAの相手国はアジアや南米が大半を占め、「豪州は農業大国と初めての協定」(農林水産省幹部)。豪州からの主な輸入品目は、日本が関税撤廃・削減をしたことがない牛肉や小麦、大麦などで、なかでも牛肉は日本国内に最も多く出回っている外国産牛肉だ。