政府は3月26日、オーストラリアとの経済連携協定(EPA)交渉で、牛肉関税を現在の38.5%から20%台に引き下げる検討に入った。オーストラリアは関税率の大幅削減を強く求めており、譲歩はやむを得ないとの判断に傾いた。
4月上旬に予定する安倍晋三首相とアボット首相との首脳会談での合意を目指し、交渉は最終局面を迎える。
林芳正農水相ら関係閣僚は26日、オーストラリアのロブ貿易・投資相と東京都内で個別に会談した。牛肉関税での合意は持ち越したが、茂木敏充経済産業相は会談後、日本が撤廃を求めている5%の自動車関税を含め「大きな進展がある」と述べた。甘利明(ああり・あきら)・環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)担当相は「首脳会談での妥結がベストだ」と話した。
オーストラリアは冷蔵品と冷凍品を区別せずに、牛肉関税を一律に現在の半分の19.25%にするよう求めている。日本は冷蔵、冷凍いずれの関税も20%台に引き下げる案を検討するが、一部の国産牛と競合する冷蔵の税率は冷凍よりも高くし、畜産農家への影響を少なくしたい考えだ。