埼玉県鴻巣市(こうのすし)にある「メイキッス」という洋食屋さん。もう20年以上このレストランの2階で鴻巣寄席と題した落語会が2カ月に1度、行われています。141回目を数えた先月、上方の桂春雨(かつらはるさめ)師匠との二人会。いつものように落語会開演前に出演者がディナーをごちそうになるのがうれしい決まりで、春雨師匠、僕と弟子2人の計4人でごちそうになったわけです。そして出てきたこのスープ。お断りしておきますが、私以外、ほかの皆さんのスープは全然こんなふうな顔になってないんですよ。これ本当に偶然ですから。20年以上2カ月に1度、必ずスープからディナーをいただいていて、初めてです。141分の1という確率になります。ハッキリ言って奇跡です。奇跡を飲んだ!と言いたいくらいです。
会を一緒にやっていた先輩
そしてここからは、僕が勝手にそう思い込んでいる話をいたします。あのスープの顔は誰なのか? または、誰によるイタズラなのか?
実は鴻巣寄席は、つい数年前まで三人会でした。私と春雨師匠ともう1人、立川文都(たてかわぶんと)師匠です。49歳という若さで、師匠である立川談志師匠よりも早くに亡くなった方です。しかもその兄さんの最後の高座がこの鴻巣寄席でした。