立川談志師匠が亡くなって2年、三回忌を迎えました。生前は師匠にとてもかわいがっていただきました。それは僕が五代目柳家小さんの孫だからです。
小さんと、その弟子の談志師匠は、途中《破門》という言葉を真ん中に据え、する側・される側、それぞれの道を行きました。でもその後、僕が談志師匠と仕事でご一緒しても、小さんはそれを許し、少しうれしそうでもありました。
惚れ合い、認め合い
弟子は師匠に惚(ほ)れて入門してきますが、師匠が弟子に惚れるということは、なかなかありません。でもこの師弟にはあったのではないかと僕は思います。
小さんが生前よく言っていた言葉に「弟子は師匠の懐へ飛び込まなくっちゃいけない」という教えがあります。つまり遠慮してちゃダメ。教えてくれるのを待っているんじゃなくて、自分から教わりに行かなくてはいけない。小さん自身も自分の師匠(四代目小さん)の懐へ飛び込み、かわいがられたと言っていました。談志師匠も懐へ飛び込みました。むしろ飛び込み過ぎました! お互い性格も気性も違うのに、どこで気が合ったのかといえば、やはり“落語”なんです。