2人とも、落語がめちゃくちゃ好きでした。たくさん、稽古をして常に芸のことを考えていました。その“芸”という共通点だけが2人をつないでいたのです。「だけ」と言いましたが、芸に生きる芸人にとってはそれだけで十分じゃないでしょうか。2人とも下手な芸人は嫌い。やっぱりうまい人が先輩でも後輩でも好きだったと思います。
三回忌、追善の一席
師匠から見て、うまい弟子はうれしいです。それだけで師匠孝行です。そんな2人があの世で見守る中、先月(11月)「談志まつり三回忌特別公演」が有楽町・よみうりホールで3日間行われました。私は2日目「家元の話をしよう!」に出演しました。他に立川談笑、柳亭市馬、松元ヒロ、そして笑福亭鶴瓶師匠に毒蝮三太夫さんと談志師匠の娘・松岡ゆみこさんらが出演し会場1200人のお客さんが目の前の芸と生前の談志師匠に思いをはせました。
市馬兄さん「黄金餅」、花緑(わたし)「二階ぞめき」。どちらも談志十八番をやらせていただきました。楽屋で聞いててくれた立川談春兄さんが「2人とも良くできるなぁ…弟子は逆に怖くてできない。だって俺が小さん追悼で『笠碁(かさご)』をやるようなもんだろ? いや~すごい! いい追善になった」。僕はその感想がとてもうれしかった。