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自分自身のなかに持っている境 町田康 (1/4ページ)

2014.3.30 14:50

(町田康さん撮影)

(町田康さん撮影)【拡大】

  • 「鐘の渡り」(古井由吉著/新潮社、1680円、提供写真)
  • 「なんでもない所をどう表現するかに、作家の蓄積した技術が試されると思う」と話す、作家の町田康さん=7月26日、東京都港区(瀧誠四郎撮影)

 【本の話をしよう】

 私は読み狂人。朝から晩まで読んで読んで読みまくった挙げ句、読みに狂いて黄泉の兇刃に倒れたる者。その読み狂人の、主に怠惰によって半ば腐敗した、まるでゾンビのような脳に浮かんでいるのは、境、という言葉。

 越す意識がない

 境というのはどういうところかというと、そこがひとつの限りで、そこを越えると、時間なのか、言葉なのか、とにかくなにかが変わって別世界のようになってしまう、線というか、ゾーンというか、そういうものである。

 いま、普通に暮らしていて、もっともわかりやすい境といえば、行政的な境で、あの人は世田谷区に住んでる、とか、渋谷区に家がある、なんてよく言う。それは、地図のうえに引かれた明確な線で、それを一歩またぎ越せば別の区になり、町になる、というはっきりした境である。しかし、その分、実感がないというか、カーナビゲーションシステムを作動させるなどしていない限り、あ、俺はいま渋谷区に入ったな、あ、でもまた、目黒区に入った、などは思わない。或いは、鉄道の駅を中心に考えると、その境はずっと曖昧になるが、境を越えるとき、より感覚的にとらえられるのかも知れない。

生まれる前と生まれた後、の境と、死ぬ前と死んだ後、の境

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