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自分自身のなかに持っている境 町田康 (4/4ページ)

2014.3.30 14:50

(町田康さん撮影)

(町田康さん撮影)【拡大】

  • 「鐘の渡り」(古井由吉著/新潮社、1680円、提供写真)
  • 「なんでもない所をどう表現するかに、作家の蓄積した技術が試されると思う」と話す、作家の町田康さん=7月26日、東京都港区(瀧誠四郎撮影)

 それにつけても例えば、「しかしわれわれも最後には、昔とどちらが寒いのだろう、と暖かい部屋の中でぽつりともらした。その人ももうとうに亡くなっている」とか、読み狂人が1000行かかっても書けないようなことがたった2行で書いてあって、しかも全行がそんな文章なのだから悶絶するね。極致というか極地だね。おほほ。嫌になっちゃうわね。読み狂人、嫌になっちゃうわ。(元パンクロッカーの作家 町田康、写真も/SANKEI EXPRESS

 ■まちだ・こう 1962年、大阪府生まれ。81年、町田町蔵名義でパンクバンド「INU」のボーカリストとしてデビュー。96年には町田康として処女小説『くっすん大黒』(文芸春秋)で文壇デビュー。2000年に『きれぎれ』(文芸春秋)で第123回芥川賞受賞。近刊に『人間小唄』(講談社)。

 ■「鐘の渡り」(古井由吉著) 著者は1937年生まれ。「女に死なれたばかりの人と山に入って、ひきこまれはしないかしら」。恋人を亡くした友人と旅に出た男が、山中で見たものとは-。三十路の男2人の旅路を描く表題作をはじめ8編を収録。新潮社、1680円。

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