クリミア編入を宣言
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)が3月18日、ウクライナから独立を宣言した「クリミア共和国」の編入を決断した。これは、プーチン氏が東西冷戦終結後の旧ソ連圏で形成された国際秩序の破壊に乗り出したことを意味する。プーチン氏は当面、「強い指導者」として高支持率を維持するとみられるが、国際社会での孤立が中長期的にロシアの国力を奪っていくとの見方は強い。
プーチン政権は2月下旬、ウクライナの政変で発足した親欧米暫定政権を「非合法のファシスト」と非難し、「ロシア系住民が脅威にさらされている」との“正義”に基づき、クリミアへの介入を正当化した。
さらに住民投票に基づく独立支持という体裁をとることで、欧米が支援したコソボ独立宣言(2008年)も「前例」に、クリミア併合への批判をかわす構えだ。
だが、クリミア介入がウクライナの主権を侵害し、両国間の基地使用に関する1997年の協定や、ウクライナの核兵器放棄と引き換えに米英露が安全を保証するとした94年のブダペスト覚書などに違反しているのは明らかだった。クリミア編入決定に踏み切ったことで、プーチン氏がなりふり構わずに、旧ソ連圏での主導権確保に乗り出したことが鮮明になった。