ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)は3月18日、モスクワで演説し、ウクライナ南部のクリミアについて、「歴史的、文化的にも分かつことのできないロシアの一部だ」と語り、ロシアへの編入を宣言した。米国や欧州連合(EU)の制止を振り切り、一線を越えて事実上の“領土拡張”に踏み切った。ロシアが外国の領土を併合するのはソ連崩壊以降初めて。米・EUは制裁をさらに強化するとしており、対立が先鋭化するのは必至だ。
ソ連崩壊後初の併合
「クリミアは強力で安定した主権の下に存在しなければならない。それはロシアだけだ」。プーチン氏はこう語り、議会上下両院に対しクリミア編入のための条約の批准を求めた。
また、ロシアへの編入を支持した(3月)16日のクリミアの住民投票について、「民主的な手続きかつ、国際法に合致する形で行われた」と主張。ロシア軍の実効支配下で行われたもので認められないとする米欧に反論した。
演説後、プーチン氏と、ウクライナからの独立を宣言した「クリミア共和国」のアクショノフ首相らは、セバストポリ特別市を含むクリミア共和国をロシアに編入するための条約に調印した。