【安倍政権考】
自民党が、政府のエネルギー基本計画案に対する党内議論を開始した。来週からは与党ワーキングチームも設置し、公明党との調整も同時並行で進める方針だという。
この計画の政府案をめぐっては自民党内に、早期に了承すべきとする賛成派と、時間をかけて議論し修正を加えるべきという慎重派がいる。公明党も原案のまま党内手続きを進めることには慎重だ。高市早苗自民党政調会長が主張するように3月中に与党内手続きを終え、閣議決定するというのは容易ではなさそうだ。
このまま原発の再稼働を1基も許さず、「原発即時ゼロ」へと向かうことが民意とは言えないことは、2月9日の東京都知事選の結果からも明らか。当面の目標は原発ゼロではなく、電力供給源を多様化する「ベストミックス」の達成にある。
問題は、その目標に向かう中で、自民党内にいる一部の「脱原発派」議員が主張しているように、原発について「過渡的なエネルギー」というレッテルを貼ることが本当に必要なのかということだ。
彼らの懸念は、東京電力福島第1原発事故への反省を忘れて、原発政策を推進する勢力が現れることだろう。だから「過渡的エネルギー」と申し渡すことで、そうした勢力が“増長”するのを防ぐ狙いがあるとみられる。