フランス通信(AFP)や米CNNテレビ(いずれも電子版)などによると、今回、見つかったのは、新王国時代(紀元前1565~1070年ごろ)のビール醸造者、コンソ・イムヘブの墓。
近藤二郎教授率いる早稲田大の調査隊が、「王家の谷」など多くの遺跡で知られるナイル川西岸で、新王国時代の第18王朝のファラオ(王)、アメンヘテプ3世時代の高官の墓の前庭を清掃していた際、T字形のイムヘブの墓の入り口を偶然、発見したという。
イムヘブは地母神ムトの神殿で催す儀式で供えるビールの醸造責任者であるとともに、穀倉の管理者だったとされている。当時、ビールは、女性や子供と同様、神へのささげものとして珍重されただけでなく、「価格がワインの5分の1~10分の1と安いこともあり、労働者階級を中心に幅広い層に飲まれた」(チョウ教授)という。
また、墓の内部の壁や天井には、イムヘブが妻子と過ごす日常生活や、妻子とともに神々にささげものを供える様子などが描かれていた。これらの壁画は細密なうえ色彩も鮮やかで、保存状態も良好だという。