【Viva!ヨーロッパ】
聖母マリアに優しく抱かれた神の子イエス。隣にマリアの許嫁(いいなずけ)ヨセフが寄り添う-。スペインのクリスマスで欠かせないのが、キリスト生誕シーンを再現したミニチュア「ベレン」だ。カトリック教国らしい伝統の装飾は今も国民に愛され続け、年明けにクライマックスを迎えるクリスマスシーズンのイベントに彩りを加えている。
市役所は観光スポット
昨年(2013年)12月初旬、マドリード市役所前に100人近くの列ができていた。お目当ては庁舎内ホールに飾られた巨大ベレンだ。バロック時代の代表的彫刻家の作品が展示されるとあって、多くの人々が詰めかけたのだ。
外周約30メートルに上るガラス張りの陳列ケースには、イエスの生誕のほか、「受胎告知」、イエスがヘロデ王による殺害から逃れるためエジプトに向かう姿など、聖書に由来する場面や庶民の生活の様子などが297体の人形で再現されていた。精巧な人形はどれも表情豊かだ。