マドリード市は長年、所有するベレンをこの時期に飾ってきたが、2012年から別の会場に移し、市庁舎では著名な作品を紹介。12年は展示期間中に8万人が訪れた。市内にはこの他にいくつものベレンが展示され、散策マップもつくられている。
「すばらしいね。この後もいくつかのスポットを回るよ」。地方から観光に訪れた男性は、そう笑顔を見せた。
ベレンの起源は13世紀にさかのぼる。聖人「アッシジの聖フランシスコ」の助言を受け、イタリアの貴族が、その生誕を祝うため、イエスが馬小屋でどんなに貧しい環境で生まれたかを伝えようとつくったのが始まりとされる。その習慣が後にスペインにも普及した。「ベレン」はイエスが生まれた「ベツレヘム」のスペイン語だ。
創意工夫の楽しみ
旧市街のマヨール広場では11月中旬から1月上旬にかけてのこの季節、クリスマス用グッズの市場が開設される。その中でも目を引くのはベレン用の人形を扱う店の多さだ。イエスやマリアといった聖家族、誕生を祝うためにイエスを訪ねた「東方三賢人」など聖書の登場人物だけでなく、庶民や動物の大小さまざまな人形、水車や川、小屋などの模型が店頭を埋めていた。