スペインではクリスマスの時期に家庭でもベレンを伝統的に飾る。市場はその材料を入手する場所だ。ある店主によると、国に登録された正規のベレン人形職人は限られており、マドリード市内で購入できるのはこの時期だけ。「それ以外に街中で売っているのをみたら、“模倣品”。気をつけてね」とも。
家庭でつくるベレンは毎年組み立てるため、年ごとに異なる。最初はイエスら「聖家族」をそろえ、翌年以降、徐々に大きくしてもいける。創意工夫の楽しみがあることから、「鉄道模型も加えてマドリードの街並みのベレンを作ったこともある」(男性芸術家)との“強者”もいる。
プレゼントは5日の夜
カナリア諸島から訪れた家族は聖家族や三賢人、馬小屋などを大量に買い込んでいた。長男のペドロ・ナバーロ君(12)は「去年までは馬小屋の代わりに靴箱を置いたりしていた。今年が本格スタートで、僕がちゃんとつくる」と意気込んだ。
マドリード南部のパソコン教師、グアダルーペ・サエスさん(36)一家のベレンは玄関の棚の上に飾られていた。「実家ではもっと大きかったんですけれどね」というが、7年前の結婚後につくりはじめたベレンは川も流れた立派なもの。こだわりも隠されている。