北京の法曹専門家は「今回のように被告が容疑を全面的に認めた単独犯行で、明確な証拠がある場合は、起訴から2カ月以内で判決が一般的だ」と指摘。司法手続きの長期化は、中国当局が日中関係と国内世論の反応を見比べて、判決のタイミングを慎重にはかったことをうかがわせる。
模倣犯を警戒
また、日中間の政治情勢が、量刑にどう影響するかも関心を集めていた。呂被告の初公判が開かれた昨年(2013年)7月、事件を担当した検察官は、中国の英字紙チャイナ・デーリーの取材に応じ「懲役10年の判決」と見通しを述べていた。
しかし、昨年(2013年)12月の安倍晋三首相(59)による靖国神社参拝で、中国の国内世論がさらに反日に傾き、呂被告を「民族英雄」と呼ぶ書き込みもネット上に流れた。対日関係者は「被告を厳罰にしないと、模倣犯が出ることを当局が警戒したかもしれない」と分析。その上で「毒ギョーザ事件以降、中国で食の安全が脅かされ、国際社会でイメージが低下した。政府は厳しい姿勢を国内外に示す必要があった」と話している。(中国河北省石家荘 矢板明夫/SANKEI EXPRESS)