河北省石家荘市の中級人民法院(地裁)の約70人分の傍聴席は、日本大使館員や被告の親族らしい人々でほぼ満席。裁判長が呂被告の犯行を「計画的で悪質」と断罪し、情状酌量を求める弁護側の主張を退ける中、黄色い収監者用の被服に丸刈り姿の呂被告は、始終うつむいたまま約20分の公判を終えた。
タイミングはかり長期化
中国当局は10年8月に呂被告を危険物質混入罪で起訴。約3年後の昨年7月になって初公判が開かれた。検察側の冒頭陳述などによると、呂被告は正社員との賃金格差に不満を募らせ、有機リン系殺虫剤メタミドホスを注射器で製品に混入した。呂被告は「私がやりました。罪を認めます。被害者に申し訳ない」と謝罪している。
呂被告の逮捕から起訴、判決にいたる手続きは3年半と長期に及んだ。また、起訴事実を全面的に認めていたにも関わらず、初公判から判決公判まで約半年を要した。中国の刑事訴訟法では、裁判所は原則、事案の受理から判決まで「6カ月以内」と規定されている。