種下ろしは奄美大島北部の祭りで、次年の豊作を願うもの。秋祭りは名前を変え、島の各集落で行われている。手花部集落では老若男女およそ60人がごちそうを持ち寄り広場に集まり、唄い、踊り、食べ、飲んだ。
手のひらを巧みに翻し舞う老人のそばで、4年生の会田城大くん(9)が見よう見まね、やんちゃに踊る。誰も何も教えたりしない。「こうやって世代がつながっていくんだよ」と松元豊和さん(61)。
慣習や、そこに込められた思いが「あ・うんの呼吸」で伝わり、世代を超えて共有されていく。その瞬間を目撃したような気がした。(津川綾子、写真も/SANKEI EXPRESS)