うちにも時々、小学生が「トイレ貸して」って来ます。「それは緊急事態だわ、借りていきなさい」って貸します。それに、名前を書いてもいないのに「持ってたよね、これ」って、なくしたものを誰かが届けてくれることもよくあります。
飲み屋では70代の大先輩たちと集まって飲みます。私のことは孫だと思ってくれているんだと思います。気安い仲だけれど、そんな大先輩たちとの結びつきは強いですし、尊いって思うんです。(取材・構成:高橋天地(たかくに)、津川綾子/撮影:フォトグラファー 別府亮/SANKEI EXPRESS)
≪何も言わなくても世代はつながっていく≫
奄美の島人(しまんちゅ)のつながりをひしと感じるのが、集落の広場で祭りに遭遇したときだ。
ドン、ドン、ドン。午後7時半、広場に太鼓の音が響き渡ると、三味線にあわせ唄者(うたしゃ)がうたい、人々が輪になり踊り始めた。2013年10月、奄美市笠利町手花部(てけぶ)集落で行われた秋祭り「種下ろし」の光景だ。