カサリンチュ、とは「笠利(かさり)の人」という意味だ。鹿児島県奄美大島の笠利町に育った2人は、学生時代の東京での生活を経て島に帰郷後ユニットを結成し、2010年にメジャーデビューした。今でも変わらず奄美大島で生活しながら音楽活動を続けている。
奄美大島在住のミュージシャンというだけでなく、アコースティックギターにボーカル、ヒューマンビートボックス(口でドラムなどの音を出す表現スタイル)というユニットというのも特徴的だ。フォーキーな雰囲気と、口で鳴らされるリズムパターンが生み出す独特なグルーブで、優しい歌からファンキーな曲まで幅広く持ち味を発揮している。
独特の世界観
先週、1年3カ月ぶりのアルバムがリリースになった。バラエティー豊富な曲のテーマはカサリンチュならでは。過去には耕運機から虫まで歌詞に昇華されてきたが、今作も「悩める自分自身」から「正月の子作り」まで、独自の視点が描かれる。とりわけ、自分の立っている場所から一歩先へ踏み出していくことを歌った「New World」という曲にとても心を打たれた。