【本の話をしよう】
私は読み狂人。朝から晩まで読みて読みて読みまくりたる挙げ句、読みに狂いて黄泉の兇刃に倒れたる者。そんな読み狂人の私は、一応、書かれたいろんなものを読んで、一応、その内容を理解、そのうえで読み狂人自身の内部になんらかの反応が生じる。エフェクトが効く、と思っていたのだけれども、本当に読み狂人は、その内容をわかっているのか。実はなにもわかっていないのではないか。というか、わかっていないこともわかっていないのではないか。といま思う。
というのは、溝田悟士の『「福音書」解読』を読んだからで、この本は新約聖書の4つの福音書の間に生じる物語の食い違いに着目して、なぜその食い違いが生じたのか、ということを、歴史的・宗教的観点からではなく、言語学その他の方法を用い、あくまでも、書かれたもの、のなかにそれを見出す、というやり方で分析・解明した本である。
こうするより他にない
と書いて読み狂人にはわからないことばかりで、まずキリスト教がよくわからず、聖書学がよくわからず、言語学がわからず、そのうえ、「ギリシア語? まだ食べたことない」みたいな状態で、したがって上の短い説明すら間違っているのかも知れない。