中国を改革開放に導いたかつての最高実力者、●(=登におおざと)小平は、1980年代から「韜光養晦」を外交の基本方針に掲げた。方針は胡錦濤時代まで続いたが、習近平政権は民族主義をあおる「中華民族の偉大なる復興」などをスローガンに掲げた。中国外務省関係者は「胡錦濤前国家主席が提唱した『和諧(調和のとれた)世界』という理念はいま実質否定された。外交政策は協調から対抗に変わった」と語った。
中国の外交方針の転換は「習政権が発足して一年、経済や治安、環境など内政面がうまくいっていないから、外国に対し強い姿勢を示すことで求心力を高めたい思惑がある」(共産党筋)と指摘する声もある。(北京 矢板明夫/SANKEI EXPRESS)
■防空識別圏(ADIZ) 領空侵犯に備えるため、各国が領空の外側の公海上などに設定している空域。それぞれ国内法で独自に定めているだけで国際法上の規定はなく、各国の管轄権が認められるわけではない。日本は防衛省の訓令で定めており、不審機がADIZに進入した場合は航空自衛隊の戦闘機などが緊急発進(スクランブル)して接近、国籍の識別や飛行目的の確認などを行っている。