一方のベイナー氏も、共和党内の保守派と穏健派の双方から突き上げられ、それを丸め込む豪腕に陰りがはっきりとみえる。政府機関閉鎖直前の予算協議のヤマ場で、「柔軟性をもってほしい」と党内に呼びかけたベイナー氏の声はかき消された。
政府機関閉鎖に追い打ちを掛けるように、10月半ばには連邦債務の上限超過に伴うデフォルト危機も迫る。政府機関の閉鎖が長期化し、この上、デフォルトまで起きれば、米国のみならず世界経済への影響は甚大で、国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事(57)は「悲惨な事態」と気をもむ。
財政運営を通じて政治の機能不全をさらけ出した米国は今や世界を不安に陥れている。強いリーダーのもとで震災から回復しつつある日本も、どうやらその余波を免れそうにない。(ワシントン支局 柿内公輔(かきうち・こうすけ)/SANKEI EXPRESS)