しかし、対照的に国家の介入の少ない「小さな政府」を求める共和党にとっては事情は異なる。オバマケアに伴う歳出の拡大は、ただでさえ金融危機以降の景気対策で悪化した財政を一層悪化させるとみる。
やはり与野党協議が決裂して3月に発動された歳出強制削減をめぐる攻防でも、社会保障の切り込みを求める共和党と慎重な民主党が対立する構図が繰り返された。今回は来秋の中間選挙もにらみ、与野党が態度を一層硬化させている感もある。
「二人の大統領」の凋落
さらに、「決められない政治」を助長しているのが、リーダーシップの低下だ。予算法案の作成権限は議会にあり、米国には「二人の大統領」がいるとよく指摘される。一人はもちろんオバマ大統領。もう一人の大統領並みの指導力が求められる人物は、共和党を率いるジョン・ベイナー下院議長(63)だ。
まずオバマ氏はせっかく再選を果たしながら、シリア情勢への対応や米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長人事をめぐる混乱などで民主党をまとめきれず、求心力の低下は目を覆うばかりになっている。