【アメリカを読む】
2010年秋から中断していたイスラエルとパレスチナ自治政府による中東和平交渉がワシントンで再開され、7月30日には双方があらゆる議題を対象にした本格的な交渉を始めることで合意した。ジョン・ケリー米国務長官(69)は2月の就任以降、6度も中東入りするシャトル外交を展開。パレスチナに経済支援を約束するなどして交渉の場に引き込み、成果を挙げた。中東情勢をめぐっては、シリアやエジプトなどでの混乱が続いているほか、パレスチナを国家として承認する動きも進んでいる。オバマ政権には、こうした動きによってイスラエルとパレスチナの関係がさらに複雑になるという懸念があり、早期の事態の打開を目指したい考えだ。
半年で6度訪問
「イスラエルとパレスチナは妥協点を見いだせないなどという言葉は信じないで欲しい。今、双方が取り組んでいることに目を向けてもらいたい」。ケリー氏は7月30日、国務省で開かれた会見で停滞が続いてきた中東和平交渉が動き出したことの意義を強調した。