「久々の成果」実現
その過程で米国は5月、欧州連合(EU)などとともにパレスチナに対する3年間で40億ドル(約4000億円)の経済支援策を打ち出した。また交渉再開直前の7月28日には、イスラエルから、拘束していた104人のパレスチナ人の釈放決定という妥協を引き出すことに成功。こうした米国の外交努力が「中東外交における久々の成果」を実現させたかたちだ。
オバマ政権が中東和平への努力を加速させた背景には、クリントン前国務長官時代には目立った成果を上げられなかったという実態がある。
オバマ政権は1期目の前半はアフガニスタンとイラクでの戦争の終結に注力。後半からは経済発展が進み、中国の存在感が拡大しているアジアを重視する路線に転じた。しかし中東では10年末にチュニジアから始まった「アラブの春」がエジプトやシリアにも波及し、各国の政情が不安定化。イスラエルとパレスチナの和平交渉も停滞し、12年11月にはイスラエルがガザ地区を空爆する事態に発展した。