中国の華北で1980年まで実施されていた暖房用石炭の無料配布政策に伴う大気汚染で、華北の住民の寿命が華南に比べ5年以上も短くなった-。こんな研究論文が7月9日までに、米科学アカデミー紀要に発表された。
影響を受けた住民は5億人に上り、25億年分の寿命が奪われたという。中国では今冬から春にかけ微粒子状物質「PM2.5」による大気汚染が深刻化したが、石炭の燃焼で発生する粉塵(ふんじん)が主な原因といわれている。
世界の石炭消費量の半分以上を占める中国にとって、粉塵が人体に深刻な影響を及ぼすことを示した研究論文の衝撃は大きい。
「われわれは(石炭燃焼による大気汚染の)影響の大きさに驚いている」
研究論文の主筆者である米マサチューセッツ工科大学(MIT)のマイケル・グリーンストーン教授(環境経済学)は、こう語り、警鐘を鳴らした。