方向性は白紙のまま
こうした事態を前に、米国には中東和平交渉の中断が長引けば、「和平に逆らう勢力が入ってくる」という懸念を抱いている。ガザ地区を支配するイスラム原理主義組織ハマスの活動が活発化するなどして、和平交渉がさらに難しくなるというわけだ。
またケリー氏のシャトル外交を後押しした要素のひとつには、国際社会に国家としての承認を求めるパレスチナの動きもある。パレスチナは昨年11月の国連総会で、従来の「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げされた。米国やイスラエルは「現状変更は和平交渉の妨げになる」と反発。今後も他の国際機関で同様の動きが進めば、「イスラエルとパレスチナの間の摩擦が強まる」(米政府高官)とみていた。