【Viva!ヨーロッパ】
2020年夏季五輪の開催を目指す東京都の猪瀬直樹知事(66)が国際オリンピック委員会(IOC)の会合に出席するため、5月末、ロシア西部のサンクトペテルブルクを訪れた時のことだ。モスクワから飛行機で乗り込んだ私は帰省する際、ロシアの「新幹線」に乗ることを決めていた。
日本でなら、ほぼ東京-姫路間の650キロに相当するモスクワ-サンクトペテルブルク間を約4時間強で走る高速鉄道「サプサン」号である。
航空便に勝る利便性
人口1100万人の首都と500万人の第2の都市を結ぶ空の便は、ロシアのドル箱路線。複数の航空会社が時間帯も価格帯もさまざまなバリエーションを用意して、乗客の獲得合戦を繰り広げているが、実は、どうも使い勝手が悪い。
都心から郊外の空港へ向かうまでに大渋滞に巻き込まれてしまうし、モスクワにはある空港アクセス鉄道が、サンクトペテルブルクではまだ整備されていない。そのため、1時間半の空の旅は、トータルの所要時間でそのスピードが相殺されてしまい、利便性ではサプサン号に軍配が上がるのだ。