スタッフの注意聞かずに
9月30日夜に閉館する新世界日活を訪ねた。
最終上映の作品は主演・松川ナミの「縄と乳房」。最終日とはいえ、館内は十数人ほどの客だったが、同館スタッフによれば、「平日夜でこの人数ならかなり多い方」で、常連客以外の姿も目立ったという。
「館内禁煙」の案内板がスクリーン横で赤く光っているにもかかわらず、たばこを吸う中年男性がいた。カップルシートに座る1組の男女の姿もあった。
セックスシーンでわざわざ席を立ち、シートをのぞき込んでいた2人の高齢男性はスタッフに注意されても、上映終了まで止めようとはしなかった。
新世界日活閉館の記念として、ロマンポルノ作品の1シーンをスチール写真にした、1枚100円のポスターを購入した若い男性は「出そうと思ってもこの(映画館の)ロマンス的な雰囲気はなかなか出せない。きょう最後に間に合ってよかった」と感慨深げだった。
日本映画の斜陽期を陰ながら支えたロマンポルノと上映館。“日陰のエロス”は過去のものになってしまうのだろうか。