昭和の風情漂う大阪・新世界の成人向け映画館として愛された「新世界日活」(大阪市浪速区恵美須東)が9月末に閉館し、40年の歴史に幕を下ろした。娯楽の多様化に伴い、近年は入館者数が激減。館内で露出行為に及ぶ客も目立ち、対応に苦慮していた。全国の成人向け映画館で閉館が相次ぐ中、“露出狂”の存在は運営側にとって共通の悩みの種だ。「視姦してください」「妻をさらします」…。インターネット上の掲示板は過激な書き込みであふれ、今や一種の「痴漢スポット」になってしまっていた。成人映画の全盛時代を知るファンからは「純粋にポルノを楽しめない」との嘆きが聞こえる。新世界日活の閉館当日もマナーをわきまえない客がいて…。(矢田幸己)
AV、ネット動画で衰退
9月中旬の平日午後、新世界日活の館内。仕事の休憩中に足を運んだのだろうか、スーツに身を包んだサラリーマン風の男性2人がスクリーンの映像を眺めていた。
新世界日活を運営する橋本土地興行社長、橋本芳子さん(71)によると、「ここ10年ぐらいの見慣れた光景」。1日の入館者数を数えるのに、両手で足りる日も少なくない。