食品表示をめぐる問題に詳しい食の安全・安心財団の唐木英明理事長は「リスク管理は費用対効果の計算によるリスク最適化を行い、最も有効で現実的な管理策を取ることが大事だ。トランス脂肪酸については、消費者庁検討会でリスク最適化の観点から議論し、報告書がまとめられている。『任意表示では国民の健康が守れない』という新たな科学的知見が出てきたなら再議論は必要だろうが、現時点で必要があるとは思えない」と話している。
■食安委「健康への影響小さい」
トランス脂肪酸は脂質に含まれる不飽和脂肪酸の一種。植物油を加工して作るマーガリンやショートニングなどに多く含まれ、大量に摂取すると、心筋梗塞など心血管疾患のリスクを高めるとされる。WHO(世界保健機関)は1日当たりの摂取量を総エネルギーの1%未満にするよう勧告。米国やカナダ、韓国などでは食品への表示が義務付けられている。
日本人の摂取量は1日平均0・7グラム(総エネルギーの0・3%)。科学的にリスクを検討する内閣府食品安全委員会は平成24年、トランス脂肪酸の食品健康影響評価を実施、評価書で「通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられる」と結論付けた。