新制度では、これまで任意だった栄養表示が義務となるが、対象は、エネルギー▽タンパク質▽脂質▽炭水化物▽ナトリウム-の5成分の予定で、トランス脂肪酸は、コレステロールなどと同様に今後も任意表示となる見込みだ。消費者庁検討会の議論を経て決まったもので、検討会では「わが国の摂取状況や疾病状況を踏まえ、現時点でトランス脂肪酸の表示義務化は必要ない」とした。
立石部長が提出した意見書について、食安委が先月、「評価書の一部を恣意(しい)的に抜粋するなど国民に誤った情報を与えるもので極めて遺憾」とする文書を消費者委に送付。しかし、消費者委事務局は「消費者庁の報告書でトランス脂肪酸は引き続き検討すべき項目の一つとされ、設置は妥当」と説明する。
リスク最適化で判断
確かに、表示があれば消費者が商品を選択する際に役立ち、製造業者はトランス脂肪酸を減らそうと努力するため、結果として摂取量削減も期待される。一方で、トランス脂肪酸だけを避けることで飽和脂肪酸が増えるなど別の健康リスクが増大▽表示に掛かる費用が商品に上乗せされ、食品の値段が上がる▽表示が正しいか検証するために多くの費用(税金)が掛かる-などの問題も指摘される。