足や手の末端の細い動脈が詰まって十分に血液が流れないため、激しい痛みに襲われ、重症化すると、体の組織に壊疽(えそ)を起こす難病「閉塞(へいそく)性血栓血管炎(バージャー病)」。国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)は、血管にカテーテル(管)を通した後、風船(バルーン)を膨らませて広げる方法で、血流を再開し症状を大幅に改善することに全国で初めて成功した。治療法を開発した河原田修身・同センター血管内科医長は「手術の技術などを標準化し一般の医療として使えるようにしたい」と話している。(坂口至徳)
完治し退院
バージャー病は、20~40代に多く発症し、国内での患者は約1万人。原因は不明で、喫煙や血管の炎症が関係するとされている。血管が収縮したり、血栓で塞がれたりして起きるが、手足の先までの長い範囲の細い血管が詰まってしまうため、薬物治療や外科的治療には限界があった。
河原田医長は、糖尿病などが原因の動脈硬化の治療のために技術開発された、直径0・5ミリの極細で固く、滑りが良いガイドワイヤやカテーテルに着目。治療では、ガイドワイヤを太ももなどから動脈に沿って入れて通り道を作ってから風船付きカテーテルを入れ、取り付けた風船を膨らませて血管を1・5~4・0ミリ径に広げることで血流を再開させる。