■腎臓摘出からリング復帰 命の重さ知り支援活動へ
分厚く鍛え上げられた肉体で妥協のない闘いを見せてきた元プロレスラー、小橋建太さん。所属団体のエースとして活躍していた8年前、腎臓がんが見つかり、腎臓を1つ摘出した。「復帰は無理」という常識を覆し、見事リングにカムバック。病に打ち勝った雄姿に多くのファンが熱い声援を送った。(文・竹岡伸晃)
平成18年6月、年に1度の健康診断を受けたときのことです。「腎臓に腫瘍のようなものが見える。再検査してほしい」と言われました。自宅近くの病院で再検査を受け、結果を聞きに行ったところ、医師は非常に説明しづらそうにしている。「がんなんですか」と尋ねると、「そうです」という返事。右の腎臓に4、5センチの腫瘍があったのです。
約2週間前にタッグチャンピオンになり、今後の防衛戦について思いを巡らせていた矢先のことです。びっくりするのと同時に、「もうプロレスができなくなるのかな」と思いました。家に帰るタクシーの中で、自分が試合をやっている姿、チャンピオンベルトを巻いている姿が走馬灯のように頭の中をぐるぐると回っていました。「チャンピオンベルトをたくさん巻いた。多くのファンから声援をもらった。素晴らしいプロレス人生だったじゃないか」