影響を最小限に
小児がん治療は抗がん剤による化学療法を主体に、切除や放射線治療を組み合わせた標準的な治療計画に基づいて進められる。小児がん患者のうち、年間約800人程度が放射線治療を受けると推計されている。
大人と比べて子供は放射線への感受性が高い分、放射線治療は効果が高い。一方で、副作用も無視できない。エックス線が患部を突き抜け、患部裏側の骨や臓器も放射線の影響を受ける。腹部の腫瘍治療で背が伸びずに背骨が曲がったり、頭部の腫瘍治療の結果、耳や顔面などの神経損傷、脳内の下垂体の機能が壊れて成長ホルモンが作れなくなったりするケースもある。抗がん剤同様、治療が原因となる「二次がん」を患う確率も少なくない。
一方、陽子線はエックス線と異なり、照射時の面積や深さを調整できるなどの利点があり、周辺臓器や骨への影響を最小限にできる。