筑波大でも先進医療への移行時、小児がん陽子線治療の影響を長期追跡するため、患者のデータベース構築を目的に臨床研究を立ち上げ、それまでと同様、患者負担をなくした。24年度の実績は患者約40人、今年度は約1億円の臨床研究費で前年度と同程度の受け入れだ。
同大の研究センターでは現在、2~14歳の小児がん患者9人が治療中だ。その一人、東北出身の村田カホちゃん(10)=仮名=は3歳11カ月のとき、副腎の神経芽細胞腫が見つかり、地元の大学病院で切除手術と化学療法を受けた。2年後、同じ部位に再発し、筑波大病院で手術と陽子線治療を実施。昨秋、胸部に神経芽細胞腫が見つかり、2度目の陽子線照射を受けている。
カホちゃんは一連の治療で計17回の照射予定で、この日は6回目。照射中は1人きりだ。「慣れたし、大丈夫。怖くない」とカホちゃん。母親(47)も「病を治し、大人になって心と体も成長してほしい。そのためにここにたどり着き、体を痛める不安や後遺症が少ない陽子線治療が受けられた。費用負担がないのはありがたい」と話す。