■重力を発生させる画期的エアロバイク
宇宙ゴミのほかにも宇宙にまつわる急務の課題がある。それは宇宙滞在中の体力、特に筋力の急激な低下である。現状では無重力(微重力)の宇宙ステーション内の生活が長引くほどに、筋力と骨密度の低下リスクに直面せざる得ない。
一説によれば宇宙空間では、筋力が地上の寝たきり状態の2倍以上の早さで低下し、骨量が骨粗しょう症患者の10倍の早さで減少するともいわれている。したがって宇宙ステーション内にはまるでジムと見紛うばかりに運動器具が用意されており、宇宙飛行士たちは暇さえあれば運動に励んでいるのだ。しかしそれでも出発前の筋力を維持するのは極めて難しいという。
約5ヵ月半(167日)もの間、国際宇宙ステーションに滞在した日本人宇宙飛行士・古川聡さんは毎日2時間半のマシン運動を欠かさなかったというが、それでもミッション終了後は骨密度が低下しており、筋力は平均10~20%も減少していたということだ。
もし将来、一般の人間が火星に行くことになるとすれば、3年にも及ぶという長い宇宙旅行の間に身体が弱りきってしまうのは火を見るより明らかである。