この宇宙ゴミ問題の対策に動いたのがドイツ政府だ。ドイツ航空宇宙センター(DLR)は約33億円(2500万ユーロ)を投じて衛星軌道上の宇宙ゴミを捕捉・追跡するシステムの開発に着手したことを先頃発表した。「GESTRA(German Experimental Space Surveillance and Tracking Radar)」と呼ばれるこの新たなレーダーシステムの開発はドイツの研究機関、フラウンホーファー研究所の高周波物理学とレーダー技術部門(FHR)が行なう。
ドイツ「フラウンホーファー研究所」のサイトより。
現状でもNASA(米航空宇宙局)は10センチ四方より大きい宇宙ゴミを監視しており、ドイツでも宇宙ゴミを観測するレーダーシステム「TIRA(Tracking and Imaging Radar Systems) 」が稼働しているが、新たに開発されるGESTRAは現システムに比べて飛躍的に捕捉・追跡性能が向上しているということだ。
特に多数の宇宙ゴミを同時に把握し航路を予測する性能に優れており、宇宙ゴミ衝突の可能性が高い人工衛星に事前に“警報”を発する役目を担うことを目指し、2018年の完成を予定している。レーダーシステムの完成後は衛星軌道の心強い“監視員”になることは間違いない。