金田: ただ、常温で長期保存ができるようになって、シウマイを遠くの人に知ってもらうきっかけになりました。
土肥: ちょっと意地悪なことを言うと、ワタシは大阪で生まれ育ったわけですが、関西で「崎陽軒」という社名はあまり浸透していないんですよね。認知度は横浜市民99%に対し、大阪市民は40%ほど(ドイ予測)。崎陽軒は知っていても、シウマイを食べたことはない人も多いと思うんですよ。いまでは横浜だけでなく、首都圏でも扱っているのに、なぜ名古屋、大阪、福岡といった都市で販売しないのでしょうか?
売り場を減らして売り上げを回復
金田: 全国展開の一環として、大阪に工場を造る計画などもあったのですが、実現できませんでした。また、真空パックシウマイを全国の小売店で販売していただいたのですが、お客さんからこのような声がたくさんありました。「横浜で『シウマイ』を買ったのに、近所のスーパーで売っているじゃないか。せっかく買ったのに、これじゃあお土産にならない!」と。
売り場の数はどんどん増えていったので、売り上げもどんどん上がっていました。でも、お客さんから反対の声があったので、会社は岐路に立たされました。このままナショナルブランドとして広げていけばいいのか。それとも横浜の地に根付いてローカルブランドとしてやっていけばいいのか。現在の社長がさまざまな人の話を聞いて、ローカルブランドとしてやっていくべきではないか。横浜の地にとどまって、目が届く範囲で、商品を展開していくべきではないか。といった考えにいきつき、いまでは経営理念に「崎陽軒はナショナルブランドを目指さず、真に優れたローカルブランドを目指す」と掲げています。