しかし課題も残したといえる。日産経営は結果重視のゴーン氏の経営の結果、短期志向が強く、また台数と収益の成長両立を欲張ることも多い。業績は不安定というイメージが定着している。ルノー・日産アライアンスでゴーン氏が両社のCEOを兼ねるガバナンス構造の不透明さも問題であった。ゴーン氏が日産の社長を退いても、ゴーン氏の日産経営への影響力に変化はないとすれば、ガバナンス構造のゆがみを解消できるとは言い切れない。
これらの課題を克服し、持続可能な成功をもたらす新たなステージへ日産を導く意味で、新社長の西川氏の責任は非常に重いものとなるだろう。
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【プロフィル】中西孝樹
なかにし・たかき ナカニシ自動車産業リサーチ代表兼アナリスト。米オレゴン大卒。山一証券、JPモルガン証券などを経て、2013年にナカニシ自動車産業リサーチを設立し代表就任(現職)。著書に「トヨタ対VW」など。