■ヒット作、ネットのクチコミが生む時代に
「シン・ゴジラ」「君の名は。」「この世界の片隅に」--。いずれも2016年に大ヒットを記録した映画だが、これらに共通する特徴をご存じだろうか。実は、公開前の宣伝をほぼ行わず、公開後のネット上でのクチコミやテレビの情報番組を通じて多くの人が知るようになった映画だ。つまり、いずれも宣伝にカネを掛けていない映画である。
一方、宣伝にカネを掛けた映画はどうなのか。実は、定番である大型作品が大ヒットにつながりにくくなっている。ハリウッドの人気シリーズ続編、原作者や監督が大物、という作品には大きな宣伝予算を掛けているのだが、大コケしたものもあった。映画業界を取材する記者に聞くと「良い意味でも悪い意味でも見込み違いが多い年だった」とのことだ。
映画だけではない。改めて考えてみると、16年は「宣伝にカネを掛けていないヒット」がめじろ押しだった。7月に米ナイアンティック社がリリースした「ポケモンGO」は、宣伝せずとも公式サイトにアップされる情報をメディアが次々に報道。世界中のスマートフォンユーザーに知れ渡り、空前のヒットになった。